透析患者さんのRLS
2010年 06月 25日
レストレス レッグ シンドローム
大きく分けて 2つ。
下肢に現れる「下肢静止不能症候群(「RLS<restless legs syndrome>」)
全身に現れる場合とがあるといわれています。
【1】下肢静止不能症候群(「RLS」
日中よりも多くは夜間にベッドに入って眠ろうとするときに発症します。
イライラしてじっとしていられず、足の置き場がない感じで、
足を動かし続ける抵抗しがたい欲求をもち、
眠ろうとしても眠れない状態を呈するものであり、
生命に関わるものではないのですが、その人にとってはかなり辛いものです。
この「下肢静止不能症候群」の診断は、
透析中に下肢をベッド上で断絶的に動かしているのを認めることができれば簡単ですが、
他覚的所見で発見されることは少なく、
自覚症状から判定されることが多いです。
その原因は、現在でも明確には解明されていませんが、
抗てんかん薬の「クロナゼパム」(リボトリール、ランドセン)が有効であることから、
多分に中枢性の何らかの機能異常が起こっているためと想定されています。
従って、その治療には、「クロナゼパム」(リボトリール、ランドセン)がよく効きますし、
パーキンソン症候群に使用する「ドーパミン」の併用も有効です。
最近になってようやく、保険適用が取得された
ビ・シフロール錠
などが、代表例です。
他のパーロデル等とくらべ、前者は透析患者さんにおいて蓄積性高く
用量調節について、症例数が少なく残念ながら使用数はまだまだ少ないようです。
このような効能から考えても、「下肢静止不能症候群(「RLS」)」の原因は
末消神経症とは考えにくいと言われています。
薬以外の対応としては、
また、透析時間・血流量・透析頻度を上げることやダイアライザーの種類を変えたり
「HD」から「HDF」や「CAPD」に透析方法を変えることで、
症状が軽快あるいは消失することから、透析効率と発症の関係は深いと考えられています。
【2】全身のイライラ症状
昼夜に関係なく、身体全体がイライラしてじっとしていられず、
静かに横になって本を読んだり、
テレビを観たりすることに集中できない症状です。
この症状が発症した場合には、4~5時間の透析治療中もベッドでじっとしていられない状態となります。
これがもっと重症化すると、一晩中徘徊したり、
焦燥感が亢進して不穏・錯乱状態に発展する場合もあります。
この場合のイライラ症状は、「下肢静止不能症候群(「RLS」)」とは別のものです。
この症状は、透析療法の初期にはしばしば発症が見られましたが、
最近では全くと言ってよいほどに見られなくなりました。
(当時は透析自体の認知も低く、透析自体を受け入れられない精神障害といわれていた)
恵比寿